昭和区元宮町

導かれた家

敷地は、都市の喧騒から少し離れた住宅街にある。
前面道路を挟んだ真正面には4階建てのマンションがあり、出入口やバルコニーの掃き出し窓からの視線がこちらへ集中している。
この住宅の計画に求められたのは、プライバシーの確保と都心でありながら自然の安らぎを感じられる空間の実現であった。
周囲の環境から導かれた開口部を持たないファサードは、必然性のある意匠として機能し、個性を纏う。
街並に抗わないよう入念に考慮された色彩計画によって、昔からこの場に佇んでいたかのような落ち着いた表情を見せ、シンボルツリーは道行く人にささやかな自然のお裾分けをしている。
室内のLDKは、どこにいても緑を感じられる植栽計画とした。
外と内の視線をコントロールすることにより生まれる美しい生活シーンが、この家の大きな魅力となっている。